情報公開請求の経過と開示資料の内容
―2026年10月14日公表資料 [3]科学技術・学術政策研究所から開示された5件の概要―
2026年10月14日 齋藤経史(kei@jsaito.jp)
[3]科学技術・学術政策研究所から開示された5件の概要
[3-1]2022年度博士人材追跡調査の実施費用と回答規模
図表2-1で示したとおり、今回、科学技術・学術政策研究所への8件の情報公開請求のうち、整理用コードN1、N2、N5、N6、N7の5件について開示資料の交付を受けました。ここでは、このうち2022年度博士人材追跡調査の実施費用に関するN1と、回答規模に関するN2の内容を示します。
N1として開示されたのは「2022年度博士人材追跡調査等」に関する精算払請求書です。この資料では、同事業の契約額および請求額はいずれも9,020,000円と記載されており、2022年度調査に委託費用として実際に支出された金額が確認できました。また、N2として開示されたのは、「2022年度博士人材追跡調査等 委託業務成果報告書」のPDFです。同報告書の「図表 4 回収結果」によれば、3つのコホートを合わせた調査対象者は8,021人、有効回答者数は4,394人、有効回答率は54.8%でした。
N1およびN2の開示資料から2022年度博士人材追跡調査には902万円の公費が支出され、4,394人から有効回答を得ていたことが確認できました。一方、現時点において、2022年度博士人材追跡調査に基づく科学技術・学術政策研究所による公刊報告書は確認できず、その未公刊の理由も明らかになっていません。このため、公費を用いて委託調査が実施され、多数の調査対象者の協力によって得られた調査結果が、どのように政策形成に活用され、社会に還元されたのかが不明瞭な状況となっています。
[3-2]調査研究実施計画・所管事項説明資料・成果物公表スケジュール
科学技術・学術政策研究所から開示された5件のうち、残るN5、N6、N7では、博士人材追跡調査の実施計画や報告書公刊予定の変遷を確認することができます。N5では、2021年度から2026年度までの各年度の調査研究実施計画として、6ファイル、計55ページが開示されました。なお、N5の情報公開請求では、博士人材追跡調査だけでなく、当時、第1調査研究グループ上席研究官であった川村真理氏が担当していた委託を伴う大規模調査として、修士課程在籍者を対象とした調査およびポストドクター等の雇用・進路に関する調査を対象に含めました。
N6では、2024年7月に第1調査研究グループが行った所管事項説明に用いられた資料が開示されました。この資料の5枚目のスライドでは、2022年度に実施された2012年・2015年・2018年の各コホートに対する追跡調査に基づくものを「第5次報告書」、2023年度に実施された2021年コホート1.5年後調査に基づくものを「第6次報告書」として図示しています。
N7では、2025年6月から11月までの所内連絡会議で用いられた成果物公表スケジュール(24回分)が開示されました。これらには「博士人材追跡調査-第5次-」の公刊予定が継続して掲載されており、その予定時期や「調整中」との記載が期間中に変化していることを確認できます。N5、N6、N7を時系列で比較すると、第5次・第6次報告書の位置付けや、第5次報告書の公刊予定について年度・時期による変化が確認されます。これらの具体的な変遷については、[4]で整理して示します。