情報公開請求の経過と開示資料の内容
―2026年10月14日公表資料 [4]博士人材追跡調査に関する計画と成果物公表スケジュールの変遷―
2026年10月14日 齋藤経史(kei@jsaito.jp)
[4]博士人材追跡調査に関する計画と成果物公表スケジュールの変遷
[4-1]2024年7月以前における第5次・第6次の位置付け
開示された年度別の調査研究実施計画等を確認すると、少なくとも2024年7月までは、博士人材追跡調査の第5次・第6次と対象調査との対応関係が明確に示されていました。図表2-1のN5の開示資料に含まれる令和6年度(2024年度)の調査研究実施計画における研究課題[『博士人材追跡調査(JD-Pro)』第5 次調査報告書及びJD-Pro 個票データを活用した調査研究]においては『2012 年コホート9.5 年後及び2015 年コホート6.5 年後、2018 年コホート3.5 年後追跡調査(第5 次調査)』『2021 年コホート1.5 年後追跡調査(第6 次調査)』『R4年度に実施した調査データに基づき第5次報告書の調査・分析を行う』と記載されています。
また、N6の開示資料である2024年7月に第1調査研究グループが作成した所管事項説明資料のスライド5では図表4-1が示すように、2012年・2015年・2018年の3つのコホートに対する追跡調査は「第5次報告書(集計中、2024年度公表予定)」、2021年コホート1.5年後調査は「第6次報告書(2023年度実査済)」として、それぞれ明確に図示されています。
図表4-1 2024年7月の所管事項説明資料における博士人材追跡調査の報告書の位置づけ
以上から、2024年7月時点までは、2022年度に実施された3つのコホートに対する追跡調査が第5次、2023年度に実施された2021年コホート1.5年後調査が第6次であるという対応関係が、2024年度の調査研究実施計画と所内説明資料の双方で確認できます。この位置付けは、次に示す2025年度の調査研究実施計画において変化します。
[4-2]2025年度計画以降における第5次・第6次の位置付けの変化
[4-1]で示したとおり、令和6年度(2024年度)の調査研究実施計画および2024年7月の所管事項説明資料では、2022年度に実施された2012年・2015年・2018年の3つのコホートに対する追跡調査が「第5次調査/第5次報告書」、2023年度に実施された2021年コホート1.5年後調査が「第6次調査/第6次報告書」として記載されていました。しかし、N5の開示資料の一つである令和7年度(2025年度)の調査研究実施計画では、この対応関係に関する記載が変化しています。前年度の計画では「R4年度に実施した調査データに基づき第5次報告書の調査・分析を行う」と記載されていたのに対し、令和7年度(2025年度)の調査研究実施計画では「R5年度に実施した調査データに基づき第5次報告書の調査・分析を行う」と、調査実施年度が変更されています。さらに、同計画の「5-1 調査研究課題の内容及び手法等」でも、2021年度コホート1.5年後調査が「第5次調査」と明記されています。
科学技術・学術政策研究所では、翌年度の調査研究実施計画を前年度の2月頃に作成し、所内で提出する形式となっています。2024年7月の所管事項説明時点では「2022年度実施調査=第5次、2023年度実施調査=第6次」であった対応関係が、その後、2025年2月頃の令和7年度(2025年度)調査研究実施計画の作成・提出までの間に、書面上で「2023年度実施調査=第5次」に変更されたことを意味します。
おおよそ2024年8月から2025年2月の間に、科学技術・学術政策研究所内でどのような議論や意思決定が行われ、2022年度実施調査に基づく報告書が公刊されないまま「2023年度実施調査=第5次」とする対応関係の付け替えが行われたのかは定かではありません。私は科学技術・学術政策研究所としてどのような検討・決定が行われたのかを確認するためN3を、2022年度調査に基づく報告書の公刊中止等について調査回答者にいつ、どのように説明または通知したのかを確認するためN4を、それぞれ開示請求しましたが、いずれも期限が延長されています。私自身はN3、N4に該当する行政文書が存在しない可能性も高いと考えていますが、これらについては開示請求に対する最終的な回答を確認した上で改めて整理します。
[4-3]2025年度の成果物公表スケジュールと「調整中」の記載
N7として開示されたのは、2025年6月4日から11月26日までの科学技術・学術政策研究所の所内連絡会議で資料として用いられた成果物公表スケジュール(24回分)です。各回の資料には「博士人材追跡調査-第5次-」が掲載されています。開示された24回分を時系列で確認すると、6月4日から6月25日までの資料では「博士人材追跡調査-第5次-」の公刊予定は2025年6月とされていました。しかし、7月2日の資料では7月欄が「調整中」に変更され、この記載は7月中だけでなく、8月27日の資料まで維持されています。その後、9月3日から9月24日までは9月欄に「調整中」、10月1日から10月22日までは10月欄に「調整中」と記載されました。10月29日の資料では「調整中」の記載はなくなり、12月が公刊予定として示され、その状態が11月26日の所内連絡会議資料まで継続しています。
この記録の推移を見ると、「博士人材追跡調査-第5次-」については、当初の公刊予定月を過ぎた後も公刊予定が確定せず、「調整中」とする月を順次後ろに移す状態が続いていたことが分かります。特に、7月欄の「調整中」という記載が8月下旬まで残されたままであったことからも、少なくとも「博士人材追跡調査-第5次-」について、成果物公表スケジュール上の予定が適切に管理・更新されていたとは言い難い状況です。また、こうした記載を含む資料は各回の所内連絡会議で共有されており、担当者だけでなく、第1調査研究グループの総括上席研究官(グループ長)や所内幹部を含む会議参加者が把握し得る状態にあったにもかかわらず、この状況は是正されないまま継続していました。
一方、N7の資料には「調整中」とのみ記載されており、誰と、何について調整していたのかは示されていません。このため、N8として、「調整中」とされた期間に「博士人材追跡調査-第5次-」の公刊について行われた所内外の調整内容が分かる行政文書の開示を請求していますが、開示決定等の期限が延長されています。私自身はN8に該当する行政文書が存在しない可能性も高いと考えていますが、これについては開示請求に対する最終的な回答を確認した上で改めて整理します。